平凡な小学3年生高町なのはは、言葉を話すフェレットが負傷し倒れているところを発見、保護した。

フェレットの正体は異世界ミッドチルダからやってきた少年ユーノ・スクライアだった。

 フェレットの要望を得て、ロストギアジュエル・シード≠集め始めようとした、その昼頃。

 もう一つの影が、地上に突き刺さった。

「………ここ、何処? 俺、死んだのか?」

 地面に突き刺さったのは、四つの刀を腰に提げた、小さな存在。

「って、小さくなってるッ!?」

 見知らぬ土地で、一ヶ月ほど浪人生活をした小学生は、夜、魔法少女と出会った。

其処から、物語は加速する。



「知るか阿呆ッ! 俺を巻き込むなッ!」

「はにゃッ!?」

 真剣を四本腰に差していても、普通の人間ほどしか動けない男の子へ、木々の根っこが次々と襲い掛かる。

「退けッ!」

 血に塗れ、地面にひれ伏しながらも、彼は自分の信念だけで、立ち上がった。

 其れは、弱いものを助けるためでもなければ、強きを挫くような志でもない。

 在るのは、一つ。

「私は、人形―――」

「やかましい! 人形が喋るか! 人形が瞬きをするのかッ!? 鏡見て出なおしやがれ!」

「フェイト! 離れて!」

「うるせぇッ! 露出狂猫耳娘がッ!」

 四つの長さも反りも違う刀が、腰にあった。




「てめぇの為でもなければ、なのはの阿呆の為でもねぇ。俺はあいつらと約束したんだよ。兄弟を助けるって、な!」



 願いの種との、約束のみ。



「自分の子供の死を認めねぇ親が、親を名乗るんじゃねぇ!」

「血を流して、涙を流しているこいつが人形なら、俺はただの肉の塊だね! 笑い種だッ!」

「そいつら、渡してもらおうか! 俺とあいつの、約束なんだよ!」

「傷つけることが強いなら、俺は弱い。誰かを犠牲にして生きるなら、俺は笑って死んでやるね!」




 彼の振るう刃は、命を絶つものでもなければ、護るものでもない。

「神克流は、人を切る剣技じゃねぇ。武器を砕く剣術だ!」

 在るのは、破壊のみ。

「覚えておけ! 俺の名前は田神 零石ッ! 世界で最も弱い男だッ!」

 恥も外聞も関係なく、少年は叫んだ。

 自分の誇りであり、信念を。




 魔法使いリリカルなのは 〜魔法と剣と信念と〜





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